2016年の電力自由化に伴い、2016年6月から地域電力会社を離れて新電力を利用して来ましたが、昨今の想定外の電気料金高騰のため、もとの地域電力会社に戻ることにしました。
新電力会社の従量料金は地域電力会社とさほど差がないものの、燃料費調整単価の計算方法が突然変更された結果、とんでもなく高騰しているためです。

今回は、この顛末について記載します。


そもそも何故新電力にしたか

そもそも新電力にした理由は、従量料金がやや高いものの基本料金が無い新電力会社があり、結果として電気料金がかなり安くなったからでした。

◆電気料金計算方法は以下の通り
基本料金+従量料金+燃料調整費+再生エネルギー賦課金

2016年からしばらくの間は燃料調整費や再生エネルギー賦課金は電力会社間であまり差が無かったため、基本料金が無いメリットを享受して来ました。

地域電力会社(東電)でのわが家の契約は、従量電灯Cの12kVAという(今にして思えば)とても過剰なものになっていたため、基本料金がkVA単価(二百数十円)×12倍になっていたので、基本料金無しはまさにピッタリでした。

何故、従量電灯Cの12kVA?
一般家庭なのに12kVAの契約にしてしまったのは、今となっては後悔するばかりですが、契約開始当初は以下のような状況でした。

1.住宅施工会社がエアコンを多数設置したため、当初の従量電灯Bの60A契約では、ブレーカーが落ちまくったこと(5部屋に6台設置)
2.電子レンジ、電気炊飯器、電気ケトル、ヘアドライヤーなどの高消費電力家電
3.ブラウン管式テレビ、パソコンも複数台利用

従量電灯Bの60A契約から従量電灯Cの契約に変更(新築ため無料)するにあたって、10kVA程度でも良かったのかも知れませんが、将来のkVAの変更にはブレーカーの変更工事(有料)が必要となるということで、深く考えもせずに十分過ぎる12kVAにしてしまったのでした。

2016年時点では、6kVAか8kVAで十分だった
その後、見直しも行わずに長年過ごして来ましたが、2016年の電力自由化に伴い状況を確認したところ、エアコンの台数削減やインバータ化などで消費電力が大幅に下がり、さらにはテレビやモニタの液晶化によっても消費電力はかなり下がっていたのでした。

2000年以降は、おそらく8kVAもああれば十分だったと思います。長年無駄に高い基本料金を払い続けていたことに愕然としました。(汗)

新電力に変更するも、12kVAから8kVAへの変更は見送り
8kVAへの変更はブレーカーの交換(たぶん有料)が必要になるということで、面倒でもあるし、基本料金無しの新電力なら気にせずに済むので、容量変更は見送りました。

したがって、今でも契約は(従量電灯Cの)12kVAのままになっています。



電気料金高騰の流れ


2016年からしばらくは特に問題なく過ぎていましたが、2020年12月末頃から急激に悪化することに。

2021年1月の騒動
全国的な電力需給のひっ迫により、日本卸電力取引所(JEPX)市場価格が高騰し、2021年1月15日には一時、251円/kWhまで値上がりしました。

電気の従量料金は1kWhあた20数円なので。これはとんでもない数値です。

市場価格に連動する料金プラン(市場連動型)を採用している新電力では電気料金が高騰することになり、大騒ぎになりました。

幸い、わが家で契約している新電力では市場連動型ではなかったため、大事には至りませんでしたが、自社で発電せず電気を買って売るだけの新電力のリスクがクローズアップされた出来事でした。

慢性的な燃料価格の高騰
脱炭素を目指す国々が競ってLNGを調達するようになり、燃料価格の高騰につながってきました。

老朽化した火力発電所の閉鎖や、原発の稼働停止もそれを加速していると思います。

ウクライナ問題によるエネルギー危機

ロシアのウクライナ侵攻により、化石燃料の供給リスクが高まり、燃料価格はますます高騰する方向です。

オーストラリアでは天然ガスの価格が高騰しているため、液化天然ガス(LNG)の輸出を規制する動きが出ています。オーストラリアは、日本で最大のLNG輸入相手国なので、もし規制が実施された場合の影響が気になります。


新電力の電気料金値上げ

燃料価格の高騰を受け、わが家で契約していた新電力では、電気料金を大幅に値上げすることになりました。

従量料金の値上げ

2022年6月から従量料金単価が値上げされ、わが家での契約では
    27.5円/kWh(改定前)→29.4円/kWh(改定後)
となりました。

仮に月400kWh使用すると、従量料金が
    11,000円(改定前)→11,760円(改定後)
と、760円ほど値上がりすることに。

値上げは痛いですが、まあ我慢できる範囲かとは思います。


燃料調整費の値上げ
2022年7月に、「9月から燃料調整費の算定方法を変更する」というメールがさらっと送られて来ました。
・変更前:石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料の価格変動に応じて毎月算出
・変更後:日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格に応じて毎月算出

しかし、これはとんでもない変更です。もともと想定していない事態です。

JEPXの市場価格に応じて毎月算出」が具体的にどういう計算になるのかわかりませんが、青天井になるようにも見えます。

このため、即断で、地域電力会社へ変更することにしました。

◆具体例
9月電気料(10月請求分)の燃料費調整単価は確定しているようです。
    18.97円/kWh(これまで契約していた新電力)
    8.07円/kWh(東電)

仮に月400kWh使用すると、燃料調整費は以下のようになる計算かと。
    7,588円(これまで契約していた新電力)
    3,228円(東電)

やはり、とんでもない差が出現するようです。当方で何か勘違いをしているかと心配になるレベルです。


地域電力会社へ変更

9月から地域電力会社(東電)へ変更する手続きを行い、無事に完了しています。

大幅な値上げの前に切り替えが完了してほっとしました。

東電の契約はスタンダードXに

東電(東京電力エナジーパートナー)の契約は、従量電灯Cに相当すると思われるスタンダードLに申し込みましたが、以下のような連絡があり、スタンダードXでの契約となりました。

◆引用(抜粋)
ご使用場所におけるご契約の容量が確認できないことから、ご契約の容量を決定することができません。ご使用いただいた電力量をもとに毎月のご契約電力を決定する「スタンダードX」で手続きをさせていただきます。

実は、まずはスタンダードLの12kVAで契約して、その後早急に6kVA(または60A)に変更することを想定していました。 ※当初の基本料金が高いですが、それしか方法が無さそうに思えたので。

しかし、スタンダードXを指定されたのでそれに従うことにした次第です。
※東電のWEBページでは、スタンダードXは現在申し込みできないとなっていますが、特別なケース?としてスタンダードXを指定されたのだと思います。

スタンダードXとは

毎月の契約電力は、実際に使用した30分ごとの電力量により決定されます。30分ごとの使用電力量のうち、月間で最も大きい値を2倍した値を最大需要電力とし、その1月の最大需要電力と前11月の最大需要電力のうち、いずれか大きい値が契約電力(kW)となります。

新電力からの切り替えなので、前11カ月のデータは無いはずなので、9月の実績をもとに10月分の契約電力が決定されるものと理解しました。(カスタマーセンターとも電話で確認済み)

◆基本料金(契約電力に応じ算定)
1kWあたり、572円

◆従量料金
最初の120kWhまで:19.88円
121kWh~300kWh :26.46円
301kWh~    :30.57円

◆燃料費調整単価
8.07円/kWh

最近は真夏日が少なくエアコンの使用も控えめで、家族構成も縮小となったところなので、9月使用(10月請求分)の契約電力は2kWで済むと想定しています。

したがって、基本料金は1,144円と格安に抑えられると思われます。

仮に月に400kWh使用すると、東電の場合は
   基本料金:1,144円
   従量料金:10,205.4円
   燃料調整費:3,228円
計、14,577円程度で済みます。

一方、これまで契約していた新電力の場合は
   基本料金:0円
   従量料金:11,760円
   燃料調整費:7,588円
計、19,348円となってしまいます。

この他に、再生エネルギー賦課金がありますが、これはどの会社/契約でも同じ値なので、ここでは考慮していません。


今後の予定

スタンダードXの契約で、当面は電気料金を安めに抑えられると思いますが、冬場のエアコン暖房や家族が帰省した時などに電気使用量が跳ね上がる可能性があります。

スタンダードXでは、過去1年間の30分ごとの使用電力量(kW)の最大値を2倍した値が契約電力となり、そこから基本料金を算出するので、極端なピークがあると割高な基本料金を1年間引きずることになります。

今後は様子をみて、年末年始等にピーク電力が大きく跳ね上がるようであれば、より適した契約に変更しようかと思います。

予想では冬場の30分ピークで2kW前後になると思われますが、契約電力としてはその2倍の4kWまたは5kWになると思います。その場合、基本料金は、2,288円または2,860円となり、これを1年間引きずるので、かなりコスパ悪いです。

※なんとも、リスキーな契約と言えますね、、、


スタンダードS

従来の従量電灯Bに類する契約で、アンペアブレーカーまたは電流を制限する計量器による契約(10A~60A)です。

現在の家庭内の環境では、60Aもあれば十分だと思われるので、この契約が有力と考えています。しかも、60Aで過剰であれば、50Aまたは40Aと縮小することも容易にできるようです。

基本料金は、10Aあたり286円なので、60A契約であれば1,716円です。従量料金はスタンダードXと同じです。


スタンダードL

従来の従量電灯Cに類する契約で、主開閉器(漏電遮断器など)の容量に応じた6kVA以上の契約です。

現在の家庭内の環境では、6kVAもあれば十分だと思われるので、この契約もありかとは思います。ただし、6kVA未満の契約がないので、やや不自由です。

基本料金は、1kVAあたり286円なので、6kVA契約であれば1,716円です。従量料金はスタンダードXと同じです。


従量電灯B

従来からある家庭向けの料金プランで、10Aから60Aまでの契約です。

スタンダードSとの差異がわかりにくいですが、不要な付帯サービスもなくシンプルなので、わが家にはこれが最も適していると思われます。


契約変更に伴うスマートメーター交換

従量電灯Cの12kVA契約から従量電灯Bの60A契約、またはスタンダードSの60A契約に変更する場合、どういう手配が必要か、また工事費が発生するのかなど、ネットで情報を探しましたが見当たりませんでした。

推測するに、現在設置してある容量120Aのスマートメーターを60Aのものに変更するのだと推測します。
SMTR

というのは、従量電灯BやスタンダードSの契約では電流制限をする計器が必要ですが、120Aのスマートメーターにはこの機能が無く、60Aのスマートメーターにはこの機能が内蔵されているらしいのです。

はたしてこの推測通りなのか、とても興味があります。

また、スマートメーターの交換だけなら、住居内に立ち入らず受電盤の工事だけで済むので、費用は発生しないと推測しています。

いずれ契約変更する機会がありましたら、このあたりの顛末も記事にしたいと思います。


【2022.9.9 訂正】
スタンダードXの契約電力に関し多数の誤記があったので、修正しました。
    kWh(誤)→kW(正)