2020年4月8日に、楽天モバイルのプラン「Rakuten UN-LIMIT」のサービスが開始されていますが、それに合わせて契約し、約9カ月間使用してきました。

加入後1年間は無料で(通話料別)利用できるキャンペーンがあったことと、楽天ポイントが6300ポイントもプレゼントされるという大盤振る舞いなので、迷わず加入した次第です。
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データ通信は容量無制限で利用でき、専用アプリ「Rakuten Link」を使用して通話すれば音声通話も無料というメリットがあるので大きく普及するかと思いきや、それなりのデメリットもあり、契約者は伸び悩んでいる様子。

実際に使ってみたところ、データ通信速度は文句なしですが通信エリアが狭いこと、音声通話に不便さがあったこととから、1年経過後の有料化(2980円/月)後も継続するかは微妙なところです。

Rakuten UN-LIMITとは

2020年4月から、楽天モバイルが自社回線で提供しているサービスです。NTTドコモ、au、ソフトバンクと同じ位置付けになりますが、新興だけに基地局の数が少ないため、かなり苦戦している印象です。

とは言え、加入後1年間は無料で(通話料別)利用でき、楽天ポイントが6300ポイントもプレゼントされるというキャンペーンなどで、申込者は200万人を超えるところまでは来ているようです。

◆特徴
・基地局は東京、名古屋、大阪など大都市部に集中。それ以外は、auのローミングに頼っている。
・楽天の割り当てバンドはBand3(1.7GHz帯)のみ
・auローミングは、Band18(800MHz帯)のみ
・データ通信容量は無制限(1日10GByteを超えると3Mbps制限あり)
・auローミングでは、5GBまで利用可能(それ以降は1Mbps制限あり)
・音声通話はVoLTEが利用できるが、専用アプリ「Rakuten Link」を使用すれば無料でかけ放題になる。ただし、「Rakuten Link」での音声通話は、RCS(Rich Communication Services)によるVoIPであり、VoLTEに比べ、通話品質が劣ると言われている。

これらを順にレビューしてみます。

サービスエリア

楽天回線エリアは大都市に集中していてさほど広くはないため、エリア内に入る人は高速通信を満喫できますが、そうでない場合は、パートナー回線のauローミングに頼るしかありません。
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(楽天モバイルのWEBサイトから抜粋)

今後、楽天の基地局は増えると思いますが、先行3社(NTTドコモ、au、ソフトバンク)に比べ、かなり少ないものと推測します。

楽天エリアではバンド3(1.7GHz帯)が利用できる

楽天に割り当てられた周波数帯はバンド3だけで、先行3社が複数バンドを割り当てられているのに比べ見劣りがします。

また、建物内でも電波が劣化しにくい800MHz帯や900MHz帯(いわゆるプラチナバンド)の割り当てが無いので、この点からも先行3社に大きく劣後することに。

パートナーエリアではバンド18(800MHz帯)が利用できる

パートナーエリアではauのBand18(プラチナバンド)をローミングで利用できるので、建物内などでは楽天エリアよりも快適に使えるケースも考えられます。

ただし、auであればBand18のプラチナバンド以外でも複数のバンドが使えるため、電波状況に応じた高速通信が可能ですが、楽天のauローミングではBand18しか使えないので、かなり不利な状況と思われます。

楽天エリアでは容量無制限の高速データ通信

楽天エリアにおいては高速データ通信の容量に制限が無く、これが最大のメリットと思います。

ただし、1日あたり10GBを超えると、データ通信速度が3Mbpsに制限されます。(翌日になればリセットされる)

極端にデータ消費の多いカスタマーを制限し他の一般的なカスタマーになるべく影響を与えないという意味で、この制限は好ましいと思っています。

動画を1日あたり数時間以上見続けなければ、10GBをオーバーすることはまず無く、私の使い方では1日あたり最大でも1GBもあれば十分です。

容量を気にすることなく青天井の解放感で高速データ通信を楽しめるのは本当に楽しく、よくぞやってくれたという感じです。

ただ、キャンペーンで1年間は無料ですが、2年目からは2,980円/月かかるのがネックです。私の使い方では、1カ月で10GBもあれば十分なので、容量無制限の解放感は嬉しいものの、2,980円払うとなると躊躇します。

自社回線を持つMNO(Mobile Network Operator)なのでデータ通信速度は十分高速で、格安SIMのMVNO(Mobile Virtual Network Operator)のように昼食時や夕方に極端に遅くなるということも無く、快適です。この点も極めて重要なメリットですね。

サービス開始当初の2~3カ月は、下り100Mbpsという速度が出ていたものの、加入者が増えてきた現在では数十Mbpsに低下してしまいましたが、それでも十分に高速で不自由なく使えています。


パートナーエリアでは5GBまで高速データ通信可能

パートナーエリア(auローミング)では、5GBまで利用可能ということで、楽天エリアに比べかなり不自由になっています。5GBを超えても1Mbpsの通信ができるので、ネットサーフィンやメールの送受信には問題が無いレベルですが、中~高画質動画の再生は厳しい状況です。

生活圏が楽天エリアにあって通常は容量無制限のデータ通信を楽しみ、旅行などで郊外に出る時のみパートナーエリアを使うような形でないと、「Rakuten UN-LIMIT」のメリットを十分享受できないと思います。

「Rakuten Link」を使用すれば電話かけ放題

デフォルトの電話アプリでVoLTE通話が可能ですが、通話料金は30秒で20円がかかります。

ただし、専用アプリの「Rakuten Link」を使用すれば、なんと通話料がかからず、かけ放題となります。これが「Rakuten UN-LIMIT」のもう一つの大きなメリットになります。

「Rakuten Link」での音声通話は、RCS(Rich Communication Services)によるVoIPであり、VoLTEに比べ、通話品質が劣ると言われています。

私が使用してみたところでは、音質は気になりませんが、相手の声は聞こえるものの、こちらからの音声が相手に届かないか途切れ途切れになるということが、3回ほどありました

データ通信回線が不安定で、上りの通信速度が充分でないことに起因するのだと推測しますが、今どきの音声通話でこれが起こると困ってしまいます。

「Rakuten Link」を使わずデフォルトの通話アプリを使えば上記の問題は無いのかも知れませんが、通話料無しでかけ放題というメリットが失われてしまいます。

なかなか悩ましいところですね、、、


1年経過後にどうするか

1年経過後は無料期間が終わり、2,980円/月(税別)徴収されるので、それまでに継続するかどうか決めなければなりません。

データ通信無制限はかなり気に入っていますが、音声通話の信頼性がいまひとつなので、以下の理由で、現時点では継続しない可能性が高いです。
 ・データ通信の容量無制限はグッドだが、実使用10GB以下で2,980円はちょっと高い。
 ・通信エリアが狭い。
 ・音声通話はあまり使わないので、無料かけ放題ではなく有料であっても信頼性の高い方が良い。

◆データ通信10GBで1,980円/月なら一考の価値あり
データ通信の容量が無制限ではなく、1カ月10GBの制限があっても良いので、1,980円程度であれば検討に値すると思っています。パートナーエリアでは、現行の5GBではなく3GB程度でも良いです。

音声通話に関しては、「Rakuten Link」を使わずに一般的なVoLTE通話で5分以内無料となれば、さらに魅力的ですね。データ通信10GBと合わせ、この形になれば迷わず契約したいところです。


まとめ

Rakten UN-LIMITに下記のプランが追加されれば、ライトユーザーにとっては最強のプランになると思います。

◆データ通信
 ・楽天エリア:10GBまでの高速通信、以降は1Mbpsで通信可能
 ・パートナーエリア:3GBまでの高速通信、以降は1Mbpsで通信可能

◆音声通話
 ・VoLTE通話:5分以内の通話かけ放題(または月60分までの通話無料)
 ・「Rakuten Link」通話:かけ放題

◆料金:1,980円(税別)/月

楽天モバイルはMNOとして基地局の整備に大きな投資をしているので難しいかもですが、2,980円/月のNTTドコモの「アハモ」やドソフトバンクの「SoftBank on LINE」が出現した今となっては、月間20GBも必要ないライトユーザーをターゲットにしたプランもあればかなり有効かと思います。

今後、auも2,980円程度のプランを発表すると思われ、MNO4社の攻防には興味がつきないところです。